お口の健康が脂肪肝予防に!新研究が示す重要性とは
最近の研究で、お口の健康が代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)のリスクに影響を与えることが示唆されています。サンスターグループと自治医科大学が共同で実施した研究によれば、健全な口腔状態を維持することが、脂肪肝の予防に寄与する可能性があるという結果が得られました。
研究の背景
現代の食生活の変化に伴い、日本における脂肪肝の有病者は2000万を超えると推定されています。従来、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼ばれていたこの疾患は、2024年8月からMASLDへと名称が変更されます。この疾患は生活習慣病や代謝異常と強く関連しており、肝硬変や肝がんのリスクも高いため、その予防が求められています。これまでの研究では、NAFLDと歯周病の関連性が指摘されてきましたが、口腔機能との関係は未だに明らかでありませんでした。この課題に対して、サンスターは自治医科大学と共同で新たな研究を行いました。
研究の実施
本研究では、自治医科大学病院に通院するMASLDの方19名と、健常な方26名を対象に、口腔状態とその影響を評価しました。各参加者には、口腔の衛生状態やむし歯、歯周病の程度、また咀嚼能力や発音能力を含め多岐にわたる項目が検査されました。
研究結果
結果として、MASLDの方は健常者と比較して、噛むことや独自に会話を行うことに関して課題を抱えていることが明らかになりました。特に、QOL(Quality of Life)に対して大きな影響が見られることが報告されており、口腔の健康状態がMASLDのリスクに関連していることが分かりました。口腔機能において、しっかりと噛める歯の数が予防において重要な役割を果たすことが示唆されています。
さらに、年齢や性別、肥満などの要因を考慮に入れた結果でも、MASLDの方は歯周病としっかり噛める歯の数との強い関連性があり、歯周ポケットの深さが増えるほど、MASLDのリスクが高くなることが分かりました。これに対して、しっかり噛める歯の数が増えることはリスクを下げることが示されました。
口腔ケアの重要性
これらの研究結果から、MASLD予防にはお口の健康を維持することが不可欠であることが強調されました。お口の衛生を徹底することによって、脂肪肝リスクを低下させることに繋がる可能性があるため、日常的な口腔ケアが求められています。
今後は医科と歯科の連携が重要となり、「体」と「口」の両面からのケアが新たな医療や保健の形を創り出すことが期待されます。
まとめ
お口の健康は、私たちの全身の健康にも大きな影響を与える要素となります。研究成果により、しっかりと噛める歯が脂肪肝の予防に寄与する可能性が示され、口腔ケアがますます重要視される時代がやってきました。今後は、自身の口腔状態を見直し、健康的な生活を実現するための第一歩を踏み出すことが大切でしょう。