第12回POLUSポラス学生・建築デザインコンペティションの解説
2025年6月30日に開催された「第12回POLUSポラス学生・建築デザインコンペティション」の二次審査会で、受賞者が決定しました。今回のコンペティションには599点の作品が応募され、その中から一次審査を通過した5点が審査されました。最優秀賞には武蔵野大学の小林由芽さんと野澤沙帆さんの作品「暮らしは路にこぼれて」、優秀賞には慶應義塾大学大学院の所新太郎さん、井口雄貴さん、鈴木理沙さんの「編まれる時間の住まい 分断された生活行動を連続する時間体験へ」が輝きました。
このコンペティションのテーマは「t軸の家/家々」です。学生たちが自由な発想を持ち寄り、自らの視点から新たな建築を模索する場として設けられたイベントです。受賞者たちの創造力あふれる作品は、ただ建物をデザインするだけでなく、私たちの暮らしや時間の流れに新しい価値を与えています。
受賞者の声
最優秀賞「暮らしは路にこぼれて」
小林由芽(武蔵野大学)さんの作品は、台湾の伝統的な住宅を参考にしながらも、現代のライフスタイルに合わせた空間を提案しています。「t軸」を中心に据えた設計は、生活者の心地よさを追求しており、日常の中で体験する時間の流れを意識したアイデアが特徴です。
「このような名誉ある賞をいただき、大変嬉しいです。今回の準備には多くの時間を費やしましたが、挑戦し続けた甲斐がありました。短期間でのプレゼンテーション準備は意外に大変で、電車の中で原稿を仕上げるなどの策も講じました。しかし、最終的には皆様のサポートに感謝しています。」と話していました。
優秀賞「編まれる時間の住まい」
慶應義塾大学大学院の受賞者3名の作品も目を引くものでした。「生活行動の分断とその連続性」を表現した彼らの作品は、現代社会の複雑さを反映しつつ、どのように時間を編み直していくかという視点が重要です。三人は、受賞を受けて「この栄誉を装うことで、今後の励みにします。」とコメントしました。
審査委員の評価
審査委員長を務めた西沢立衛教授は、多くの応募があったことに驚きつつ、各作品のプレゼンテーション能力に高く評価しました。「一次審査では多くの選択を迫られましたが、二次審査では言葉や模型を通じて、受賞者の意図がより明確に伝わりました。結果として最優秀と優秀という順位がつきましたが、今後も挑戦を続けてほしいと思います。」と締めくくりました。
入選作品の紹介
さらに、入選作品として評価されたのは、「レジリエントな土壁」(デルフト工科大学、宋宇軒)、及び、「月と太陽の降る里」(九州大学)、また、「はみ出す境界、つながるのりしろ」(広島工業大学)の作品です。それぞれが独自の視点から、建築に新たな可能性を見出しています。
このコンペティションは、若手建築家の発掘と育成の場として、今後も続けていく必要があります。参加者たちの挑戦が、未来の建築を形作っていくでしょう。