福岡・筑豊エリアの新しい地域情報メディアの幕開け
福岡県田川市を拠点とする株式会社BOOKが、筑豊エリアの地域情報誌『CHIKUSKI*(チクスキ)』の運営事業を譲り受けました。このフリーペーパーは、毎月4万部を発行し地域の魅力を発信してきましたが、今回の事業譲受を通じて、さらなる活性化が期待されています。
事業譲受の背景と目的
元々『CHIKUSKI(チクスキ)』を運営していた株式会社トーンは、地域に密着した情報発信やイベントの企画を数多く行ってきました。しかし、この数年で情報環境は大きく変化しており、SNSや他のデジタルツールが主流になりつつあります。そんな中、地域メディアが持つ役割や価値も見直されつつあります。そこで、会社BOOKは『CHIKUSKI』の理念を引き継ぎながら、地域に根ざした形での事業改革を進めることを決意しました。
この取り組みの一環として、廃校を活用して築いた「いいかねPalette」を拠点に、地域資源を利用したユニークな場づくりや情報の発信に力を入れています。「いいかねPalette」は、実際に地域のクリエイターやアーティストが集まり、さまざまなプロジェクトに取り組んでいます。
「いいかねPalette」とは?
株式会社BOOKが運営する「いいかねPalette」は、旧猪位金小学校をリノベーションした複合施設です。音楽スタジオやシェアワーキングスペース、ゲストハウス、飲食店などが実装され、田川市を基盤に地域のアーティストやクリエイターたちが集まる場所となっています。
ここは、人気ポッドキャスト番組『COTEN RADIO』の始まりの場所でもあり、多彩なアートや教育イベントの拠点としても利用されています。さらに、地域の教育活性化や商店街との連携など、地域貢献に向けた多様な取り組みが行われています。
地域メディアの挑戦と未来
地域広告市場は年々縮小傾向にあり、フリーペーパーを含む地域メディアも厳しい状況に直面しています。しかし、株式会社BOOKでは、信頼性の高い情報を地域に届けることに重きを置いており、紙媒体の持つ力を再認識しています。
特に筑豊エリアでは、高齢化や人口減少が顕著で、地域の人々に向けた等身大の情報提供が可能な紙媒体の需要は依然として根強いものがあります。そのため、グラフィックデザインのセンスを生かしたバランスの取れた情報発信を行い、SNSやイベントと連携することで、地域の人々に必要とされる存在となることを目指しています。
今後のビジョン
今回の事業譲受を通じて、株式会社BOOKは筑豊エリア全体の活性化を狙い、さらなる地域産業の発展に寄与する所存です。田川市の人口は約4万人である一方、筑豊全体で見ると約40万人の人々が暮らしています。
『CHIKUSKI』を紙媒体としての強みを活かしつつ、新たなオンラインメディアやイベントとの融合を図ることにより、地域メディアの価値を一新していく方針です。今後の展開に多くの期待が寄せられています。
関係者のコメント
株式会社BOOKの代表取締役、青柳考哉氏は、「地域に暮らす人たちの意識を変えることが、地域創生に不可欠である」とコメントしています。また、25年間『チクスキ』を見守ってきた株式会社トーンの代表、江藤裕仁氏も、BOOKの新たな挑戦に期待を寄せており、その可能性に胸を膨らませている様子が伺えます。
このように、地方創生に向けた前向きな発展が始まっており、地域に必要とされるメディアがどのように進化していくのか、引き続き注目です。