顧みられない熱帯病(NTDs)解決に向けた国際的な取り組み
2025年7月9日、福岡を拠点とする一般社団法人NTDs Youthの会が、国際的なユース団体と連携し、日本の若者たちの声をG7首脳に届ける共同声明を発表いたしました。この声明は、カナダで開催されたG7首脳会議に合わせて広がりを見せており、今後のNTDs対策に向けた重要なステップとされています。
NTDsとは何か?
顧みられない熱帯病(NTDs)は、主に貧困層が住む熱帯地域で蔓延している21種類以上の感染症や寄生虫疾患を指します。デング熱やハンセン病、狂犬病などがその例であり、全世界で約15億人がその影響を受けています。これらの疾患は予防や治療が可能にもかかわらず、十分な医療サービスや衛生環境が整っていないことから、無視されがちな状況にあります。
共同声明の内容
6月24日に発表されたこの声明では、G7の各国首脳に対し、NTDs対策のための中長期的な財政的コミットメントを求めています。具体的には以下のような要請が含まれています。
- - NTDsに関する研究開発を奨励し、民間の投資を促す。
- - アフリカ疾病予防管理センター(アフリカCDC)との協力強化。
- - グローバルな公衆衛生や安全保障にNTDsを統合し、効率を上げる。
- - WHOへの安定した資金提供を確保。
このような包括的な行動は、NTDsの問題解決に向けた重要な要素だとされています。
G7首脳会議におけるNTDsの認知度
2025年のG7首脳会議では、地政学的リスクや経済危機が主要な話題として浮上しました。その中で、NTDsを含む感染症や公衆衛生の課題への注目が薄れ、市民社会からの懸念が高まっています。カナダのアドボカシー団体であるCanadian Network for NTDsのティナ・ラインズ氏は、「NTDs問題に立ち向かうための行動の機会は残されている」と警鐘を鳴らしています。
日本の若者たちの意義ある活動
一般社団法人NTDs Youthの会は、若者たちが直接関与するかたちで、国内外のパートナーと連携して活動を展開しています。この団体は2023年に設立され、NTDsの問題を広く伝えるためのアドボカシー活動を行っています。2024年には、ドイツや日本の熱帯医学会に出席し、国際的な連携策について対話を行う予定です。また、各国のユース団体とも協力し、シンポジウム等を通じて認知度を高めています。
団体概要
このように、海外での影響力を持つ若者たちが、顧みられない熱帯病に対し声を上げている背景には、私たち自身の日々の生活が大きな課題を抱えていることを忘れないためでもあります。世界中で多くの人々が苦しんでいるその現実を受け止め、私たちにできることは何かを考え続けたいものです。