全国における医療施設の新規開業動向を探るレポート

医療施設の新規開業動向を徹底解析

株式会社Review（リビュー）が発表した「全国医療施設開業動向レポート」によると、2025年の1月から3月にかけて、全国で863件の病院と診療所が新たに開業しました。この数値は、特に都市部での開業が顕著であり、医療ニーズの変化を反映しています。

開業件数の動向

今回の調査によれば、年度末の3月には353件という、全体の約41%が集中していることがわかります。地域別では、東京都が190件で1位、大阪府が119件で続き、神奈川県、千葉県、埼玉県と大都市圏での開業が特に目立つことが特徴的です。これらの地域は人口集中にともなう医療需要が高く、新規クリニックの需要も旺盛に推移しています。

特に東京では、自由診療の専門クリニックが多く、新たな医療サービスへのニーズが高まっている現状が見て取れます。また、大阪府でも年度末の需要に向けて開業数の増加が顕著で、いままでのトレンドが続いています。

3月の開業ラッシュの背景

レポートでは、月別の開業件数を見た際に、3月における開業が多いことが際立っており、これはさまざまな要因が絡み合っていると考えられます。特に、診療報酬改定や制度変更に関する対応、また、医師やスタッフの独立に伴い、年度内に開業を目指す動きが顕著に見受けられます。

診療科目別の開業状況

診療科目別のデータも興味深いものです。全体の開業件数の約30%を占める「歯科診療所」は268件で最多でした。続いて「内科」が254件、「形成・整形・美容外科」が52件と、特に歯科医院の需要が高く、都市部における駅近クリニックの開業が目立つ結果となっています。このことは、医療提供のあり方においても変革が進んでいることを示しています。

医療施設の抱える課題

ただし、新規開業が増える一方で、医療機関の倒産や閉院も増加している点は見逃せません。医療業界は今、開業と閉業が交錯する、変わりゆく時代に入っています。物価高、人手不足、および地域医療の崩壊リスクが再認識されており、新たに開業する医療機関は「地域を支える覚悟」を持ってスタートしています。ここからは、疾病を治療するだけでなく、患者の不安に寄り添うための医療提供の重要性が増しています。

医療の未来に向けて

2025年1月から3月のデータを踏まえると、全国863件の新規開業という結果は、ますます複雑になる医療ニーズに対する地域医療の果たす役割が重要であることを示しています。次世代へとつなぐため、医療機関が抱える課題とその解決策を模索しながら、福岡地域を含めて、全国の医療が今後も成長していくことを期待しています。業界のさらなる発展が必要とされる時期に、私たちもその動向を注視していきたいと思います。