現役自動車整備士の実態に迫る
自動車業界における整備士の仕事は、一見すると「車が好き」「手に職をつけたい」といったポジティブな動機で選ばれることが多い。しかし、現実には労働環境や待遇に対する不満の声が聞かれ、業界の人材不足が深刻化している。これに伴い、安心して働ける職場環境の重要性が高まっている。
調査の概要
株式会社チェングロウスが実施した調査では、1,023名の現役自動車整備士の意見が集められた。調査は2026年1月6日から8日の間、PRIZMAのインターネット調査を通して行われ、専業と兼業の整備士それぞれから回答を得た。
調査の目的は「現役自動車整備士の本音」を探り、彼らが職場でどのような期待や不満を抱えているのかを明らかにすることにあった。
自動車整備士を目指した理由
調査結果から、多くの整備士が自らの職業選択の理由として『自動車が好きだったから』と述べていることがわかった。約56.5%がこの理由を挙げ、続いて『手に職をつけたいと思ったため』が37.1%、『幼い頃からの夢だったから』が22.3%だった。この結果は、整備士職がいかに自動車に対する情熱から生まれた選択であるかを物語っている。
仕事のやりがい
整備士としてのやりがいや達成感についても伺った結果、やはり『車が直った瞬間の達成感』が46.2%で最多であったことが表れている。他にも『お客様からの感謝の言葉』や『技術・知識の積み重ね』も評価され、他者からのフィードバックがモチベーションの一部であることも特徴的だ。
やりがいと賃金のバランス
働く中でのやりがいや達成感がある一方、賃金に対する不満も多く見受けられる。調査では、専業・兼業問わず『やりがいを感じるが、賃金は不十分だ』との回答が多数を占め、56.5%から65.5%にのぼった。これは職業に対する内面的な充足感と外的な評価、特に賃金との隔たりを示している。
理想と現実のギャップ
次に、自動車整備士としての理想と現実にどのようなギャップがあるかについて尋ねたところ、専業整備士の29.4%は『技術を習得する喜び』を挙げたが、業務負担感も感じていることが顕著だった。また、兼業の整備士では『労働時間が長い』『休暇が取りづらい』といった現実的な問題が指摘され、就業環境の実態が浮き彫りとなった。
辞めたい理由は賃金と休暇不足
整備士が『辞めたい』と感じる理由としては、圧倒的に賃金に関する不満が多かった。専業では34.9%が賃金不満を、31.0%が休日の少なさ、30.3%が休暇が取りづらいと刺さり、兼業ではそれぞれ40.7%、35.3%、34.7%が同様の理由を挙げている。これらの回答は、ライフスタイルとのバランスを求める中での不満が根強いことを示している。
「3K」のイメージと職業観
自動車整備士の職業に関して「3K(きつい・汚い・危険)」という印象が持たれているが、そのイメージに対しては専業・兼業ともに否定的である結果が出た。専業では約半数が『全くの誤解』または『あまり当てはまらない』と回答し、現場の実態とはかけ離れた印象を持たれているようだ。特に技術者としてのプライドを持つ彼らにとって、誤解されることは大きな憤りを感じさせる要因でもある。
長く続けられる職場の条件
「この仕事を長く続けられる」と感じるための条件として、どの整備士も『十分な賃金』を求めているが、専門的には専業整備士は『適切な評価制度』、兼業整備士は『キャリアパスの明確さ』に重きを置く結果となった。これらの要素は、職場環境の充実を図るために整備されなければならない。
外国人材の必要性と課題
整備業界でも外国人材の必要性を感じている整備士が多く、良い刺激を与えると前向きに考えている声も多かった。一方で、外国人材が働きやすく定着するための支援や環境整備も非常に重要であることが分かっている。
まとめ
今回の調査から、自動車整備士が抱える賃金の不満や業務負担、職業に対する誇りなどさまざまな実態が見えてきた。また、外国人材の受け入れに対しても課題を認識していることが明らかになった。各整備士がやりがいを持って長く続けられる職場環境をつくるためには、賃金だけでなく、働き方にも柔軟に取り組む姿勢が求められる。自動車整備業界が持続的に成長するためには、「人」を中心に据えた投資が不可欠であると考えられる。