三生医薬が示すクリルオイルの新たな可能性
静岡県富士市に本社を置く三生医薬株式会社は、2025年9月に東京で開催される「日本脂質栄養学会第34回大会」にて、クリルオイルの最新研究成果を発表しました。この発表では、二つの主要なテーマ、すなわち「クリルオイルとMCTによる持続的な吸収設計」および「英国グラスゴー大学による筋肉量維持効果」が紹介されました。これにより、クリルオイルの機能性の新しい側面と、サプリメント市場における製品開発の可能性が明らかとなりました。
発表のポイント①:持続吸収を可能にする「クリルオイル×MCTマトリックス」
三生医薬は2025年6月、クリルオイルと中鎖脂肪酸(MCT)を組み合わせる新しい研究成果を発表しました。この研究により、両者が相互作用して高次構造を形成し、脂溶性成分の持続的な吸収を促進することが示されました。動物試験では、モデル成分をこのマトリックスに溶解して投与した結果、従来の方法に比べて血中濃度の持続が確認され、これがどのように機能するかを探る新たな道筋を示しました。
例えば、「成分量を増やす」従来のアプローチから一歩進んだ「効かせ方を設計する」手法は、特に高付加価値の機能性食品を目指すブランドにとっての大きな支えとなります。この新しい技術は、難吸収な成分の持続的な効果を実現する可能性があり、製品開発の革新を促すきっかけにもなりそうです。
発表のポイント②:減量時に筋肉量を維持する可能性
続いて、英国グラスゴー大学が実施した臨床試験の結果も注目されています。この試験は、断続的断食を伴う減量プログラムにおいて、1日4gのクリルオイルを摂取したグループが筋肉量を有意に維持できたことを報告しました。通常、体重の減少には筋肉量の減少が伴うため、健康的なダイエットには大きな意味を持ちます。
その結果は、クリルオイルが脂質の代謝改善や筋機能の維持に寄与できる可能性を示唆しており、ダイエット市場において「健康的に痩せる」というニーズに応える製品設計に寄与すると考えられます。
実際、他の研究でもクリルオイルの採取が筋力向上や筋肉のメンテナンスに役立つ結果が報告されており、これはスポーツ栄養やボディメイクを目指す人々にとっての新しい選択肢となることでしょう。
クリルオイルの研究と社会実装
クリルオイル研究会の会長である矢澤一良教授は、クリルオイルの潜在的な機能がますます明らかになってきていることに期待を寄せています。また、三生医薬の研究は、素材の機能を引き出す新たな製剤設計の方向性を示しており、業界全体の発展に寄与することでしょう。
また、三生医薬の常務取締役である又平芳春氏は、クリルオイルが同社において重要な原料であり、今後も独自の開発を続けていくと述べています。製品の差別化を図り、顧客への価値提供を実現するために、研究と技術の融合を図っていく考えのようです。
クリルオイルの理解と今後の展開
クリルオイルはオキアミ由来の脂質で、オメガ3系脂肪酸や天然の抗酸化成分を豊富に含んでおり、様々な健康効果に期待が寄せられています。今後さらなる研究が進む中、クリルオイルの正しい理解が広まり、その応用が進むことが期待されています。三生医薬は、科学的知見を基にした健康食品の提供を通じた社会貢献を目指しています。