生態系品質評価
2026-10-27 16:33:18

植物種リストを用いた生態系質の評価方法開発とその成果

植物の多様性から生態系の質を測る新戦略



九州オープンユニバーシティの矢原徹一研究部長のチームが、植物の種リストを利用して生態系の質を評価する新たな手法を開発しました。この手法は、特に地域の生物多様性を把握するために重要な指標を提供し、今後の生態系保護活動に繋がると期待されています。

研究の概要


この研究では、5つの多様度指標を用いて1050種の植物データベースを作成しました。ここには217種の未記載種も含まれています。研究の根幹は、ゲノム情報に基づく被子植物の分類の再検討にあり、これによりそれぞれの植物の分布や生態的特徴を詳細に整理しました。

特に、これまで一種類として扱われていたタニギキョウ属がなんと21種に分けられ、その地域固有性が見えてきました。これにより、各地域ごとの固有種の分布状況が地図上で可視化され、より精緻な生態系の理解が促進されます。

生態系評価の必要性


生態系の健全性を回復させるための指標が求められている現代、日本政府は『生物多様性国家戦略2023-2030』を策定しました。この戦略では、陸と海の30%以上を保全する「30by30目標」が掲げられ、生物多様性の全体を守るために様々な方針が示されています。しかしながら、生態系の質を測る具体的な指標が不足しているとの声も多く、この研究の必要性が強調されています。

開発した5つの多様度指標


研究チームが構築した5つの多様度指標は次のとおりです。それぞれの指標は、植物の特性に基づき、生態系の多様性を数値化します。

1. 生育地型多様度: 様々な環境に生息する植物の種類を把握し、特定の生育環境の喪失を予測。
2. 生活型多様度: 環境に応じた生き方を持つ植物の多様性を評価します。
3. 開花期多様度: 各季節に花を咲かせる植物の多様性を測ることで、送粉資源の状態を確認。
4. 散布型多様度: 植物がどのように種を運ぶかの多様性を評価し、動物との関係を探ります。
5. 送粉型多様度: 花粉を運ぶ動物との関係のはっきりした種の割合を測定。

これらの指標を活用することにより、植物群集の多様性がどの程度保持されているかを数値で示せるようになります。

具体的な評価例


九州大学伊都キャンパスで実施された評価では、5つの多様度指標が計算され、別の地域と比較することにより伊都キャンパスの生態系の質を把握しました。特に送粉型多様度が県全体の水準から低かったため、マルハナバチ媒の植物の保全が必要とされました。

経年変化の把握と新たな指標


過去のデータを用いれば、植物の生育ベースの変化を把握でき、特に神奈川県の調査データからも分かるように、種数の減少が生態系に与える影響を評価できます。

これに加えて、固有性指標を用いて地域固有種の保護を進めることも可能になりました。これにより、北海道や九州の特定地域での固有性が明らかになり、保護・調査の新しいアプローチが期待されています。

未来への展望


九州オープンユニバーシティの研究チームは、さらに多くの植物種に対してこの評価方法を適用し、『生物多様性国家戦略2023-2030』の評価に貢献する計画を進めています。

このような取り組みが進むことで、日本全国の生態系保護が進み、地域特有の植物・動物たちがより良い環境で共存できる未来を目指します。

【お問い合わせ】
この評価方法についての詳細な情報を求める方は、九州オープンユニバーシティ事務局までご連絡ください。 E-mail: [email protected]



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