中部エリアの建設職と人材不足の実態
総合人材サービス企業ヒューマンリソシアによる最近の調査結果が示唆するところによれば、中部エリアの建設業界では、建設技術者や技能工の人材不足が年々深刻化しています。調査結果によると、2030年には5万人、2040年にはなんと10.3万人もの技能工が不足することが予測されています。
調査概要と背景
ヒューマンリソシアは、中部エリア、具体的には岐阜、静岡、愛知、三重の4県に焦点を当て、建設技術者および技能工の需給ギャップを試算しました。この調査は、全国版の建設技術者・技能工に関する将来推計をベースに行われており、中部特有のデータも反映されています。
技術者の需給状況
まず、建設技術者に関しては、2030年にかけてその需給バランスが徐々に改善される見込みです。2020年の就業者数は約4.9万人であり、2030年には6.0万人に増加し、2040年にはさらに6.8万人に達すると予測されています。この背景には、新卒採用の増加や、65歳以上の人口割合が全国平均より低いことが関与しています。技術者の需給ギャップは2030年頃には解消される見込みですが、それまでは厳しい状況が続くことが予想されます。
技能工の厳しい予測
一方で、建設技能工の状況は非常に厳しいと言えます。技能工の供給数は、2020年の29.6万人から2040年には22.9万人にまで減少する見込みで、これは約22.5%の減少に相当します。需要は2020年の30.8万人から2040年には33.2万人へ増加するとされるため、結果的に2030年には5万人、2040年には10.3万人もの技能工が不足するという計算になります。この不足幅は他のエリアと比べても大きく、特に深刻な状況にあるといえます。
何が人材不足を招いているのか
調査に基づくと、建設業における人材不足には複数の要因があります。特に、新卒採用の増加と共に、競争が激化しており、職場環境や待遇の改善が求められています。さらに、施工管理や技能工の職務に対する魅力が低下しているとの指摘もあります。また、労働力人口の減少が続く中では、転職や定年に伴う離職が懸念材料となっています。
今後の取り組み
ヒューマンリソシアによる調査では、約6割の企業が施工管理における人材不足が将来的に拡大すると予測し、技能工については約7割が不足が拡大すると回答しています。これを受けて、企業は採用強化や定着に向けた待遇改善を図る必要があります。加えて、海外からの人材採用やデジタル技術を活用した生産性向上も、今後の重要な戦略となるでしょう。
中部エリアの建設業界においては、技術者の需給ギャップは徐々に解消されるものの、技能工の不足問題が大きな課題として残ります。この問題に立ち向かうためには、幅広い視点からのアプローチが求められるでしょう。