障害者雇用の実態調査による課題の浮き彫り
株式会社エス・エム・エスが実施した調査では、障害者雇用の担当者157名を対象に、雇用の実態や経営層からの期待、そして抱える課題が浮き彫りとなりました。本調査は、2026年7月に予定されている法定雇用率の引き上げを控え、実際に障害者雇用を推進する上での現状を探ることを目的としています。
調査結果の概要
調査の結果、経営層からの期待の中で最も重視されているのは「雇用率の達成」で、65.6%の回答者がこの点を挙げました。次いで多かったのが「採用後の活躍や戦力化」で58.0%が期待を抱いています。
しかし、その一方で障害者雇用担当者の72.6%が他の業務と兼務していることがわかり、専任の担当者はわずか26.1%にとどまる現状が明らかになりました。このことは、責任が一個人に集中し、環境調整や支援が困難な状況を生んでいると言えるでしょう。
経営層の期待と現実のギャップ
多くの担当者が経営層からの期待に応えるためのリソースや権限に欠けていることが分かりました。予算や人員に関する裁量があると回答した担当者は、わずか33.8%であり、実際には上申権限はあるものの、決定権がない人が47.6%もいる状況です。このように、経営層の期待と現場の実態の間に大きなギャップが逆に障害者雇用を推進する上での足かせとなっています。
労働市場での障壁
現場での受け入れに対する障害としては、「配属先部署の専門知識やノウハウ不足」が29.9%と最も多く挙げられ、また「業務の切り出しができない」という課題も24.8%で続きます。これらのことから、担当者は単に法的な雇用の話に留まらず、障害者が実際に活躍できるための場が整っていないことを感じているといえます。どのような業務を任せることができるか、その切り出しが難しいという現実が障害者雇用の定着を妨げています。
ノウハウの共有が急務
69.4%の担当者が配属先との認識のすり合わせや環境調整に課題を感じていることからも、適切な配慮事項を共有する情報が不足していることが伺えます。こうした実態から、自社のノウハウや支援体制の強化が喫緊の課題であることがデータとしても裏付けられました。
法定雇用率と障害者の活躍を支える
障害者雇用の質が問われる中で、政府の方針も重視される法定雇用率の達成だけではなく、障害者の能力が最大限に引き出されるような職場環境の整備も必要とされています。エス・エム・エスでは、障害者雇用におけるサービス「かべなし」を通じて、企業が自身の体制を強化し、職場の受け入れ環境を整える支援を行っています。2026年には、法定雇用率2.7%引き上げを前に、企業の現場での受け入れ体制づくりを進める必要があります。これからの働き方の多様化に対応し、障害者の活躍を実現するためには、企業全体としての理解と環境整備が不可欠です。
まとめ
本調査によって明らかになった障害者雇用の現状は、リソースや制度の整備に取り組むための一歩です。障害者雇用を進める企業が職場環境を整え、ノウハウ共有を進めることで、これからの未来の雇用における質の向上が図れることを期待します。障害者のウェルビーイングの向上を目的に、エス・エム・エスでは今後もさらなる取り組みを重ねていくことでしょう。