地熱発電を利用した新たな取り組み
東京都内のオフィスビルが地熱発電を利用したオフサイトコーポレートPPAを導入したことが発表されました。この取り組みは、東京建物株式会社、日鉄エンジニアリング株式会社、九電みらいエナジー株式会社の3社によって実現しました。特筆すべき点は、これは不動産業界で初めての試みであり、国内の電力供給における再生可能エネルギーの活用を促進する一歩となります。
地熱発電の利点
日本の発電における再生可能エネルギーの割合は、2023年度の時点で26.1%に達しています。その中でも地熱発電は、常に安定した電力供給が可能であり、発電効率も非常に高いことが特徴です。このため、オフィスビルの日中の電力需要時には、地熱発電を「ベース電力」として活用し、さらに太陽光発電も併せて利用することで、今後の再エネ自給率の向上を目指します。特に東京都内では、土地の制約から太陽光パネルの設置が難しい中、このような地熱発電の導入は重要な意味を持ちます。
導入のプロセス
具体的には、九電みらいエナジーが運営する八丁原発電所、滝上発電所および他の地熱発電所で生成した電力が、日鉄エンジニアリングを介して東京建物所有のオフィスビルに供給されます。これにより、特に在宅勤務が増える現代において、ビルの電力効率を高めることができるでしょう。また、この取り組みにより、年間360トンのCO2削減効果が期待され、環境への影響も大きく改善されることが見込まれています。
地中熱の資源としての可能性
地熱発電は、風力や水力と並んで再生可能エネルギーの選択肢の一つですが、特に日本の地熱資源は豊富です。東京建物は、長期的なビジョンのもと、2050年までに全ての電力を再生可能エネルギーでまかなうことを目指しています。そのために、地熱発電所の設置や、太陽光発電の導入を進めています。
企業の取り組み事例
- - 東京建物: 環境配慮型物流施設「T-LOGI」の屋根に太陽光パネルを設置し、ビルへの再エネの融通を行っています。
- - 日鉄エンジニアリング: 20年以上の経験を生かし、電力ソリューションを提供しています。
- - 九電みらいエナジー: 地熱を含む多様な再生可能資源を活用し、社会のエネルギーニーズに応えることを目指しています。
今後の展望
このオフサイトコーポレートPPAの導入は、地熱発電を活用した新たな電力供給の形を示しており、他の業界への波及効果も期待されます。再エネ電力の利用促進や、カーボンニュートラルの実現に向けた積極的な取り組みは、環境負荷を軽減し、持続可能な社会へ向かう基盤を築くものとなるでしょう。従来の電力供給システムが変革される中、企業の責任としての脱炭素化に向けたアプローチが求められています。この試みが成功すれば、東京都内の他のオフィスビルでも同様の取り組みが広がる可能性があり、持続可能な社会への道筋が一層明確になるでしょう。