犬のしっぽと耳の切除問題:福岡の獣医師の意見を探る
町中で見かける可愛い犬たち、ふわふわのトイプードルや耳がピンと立ったミニチュア・シュナウザー。しかし、これらの犬たちの多くは誕生後すぐにしっぽや耳を切る「断尾」「断耳」という手術を受けています。今回は、この問題について福岡の獣医師の調査結果やコメント、さらには一般飼い主の反響を基に考察します。
断尾・断耳はいつから行われている?
断尾や断耳は古くから存在しており、かつては猟犬や作業犬の怪我を防ぐために行われてきました。しかし現代においては、見た目を重視し、ペットとして飼われる犬たちにも広く行われています。この事情について、ペトリコウェルが行った調査では、獣医師の約70%がこの処置に反対の意思を示しました。彼らが危惧するのは、犬に対する健康問題やストレスのリスクです。
獣医師が感じる健康リスク
調査の結果、獣医師たちは以下のような健康問題を指摘しています。75%以上が、断尾や断耳がもたらすリスクに懸念を抱いています。
1.
慢性的な痛み: 切除時に神経損傷が生じるリスクがあり、これにより犬が永続的な痛みを感じる可能性があります。
2.
術後の感染リスク: 不十分なケアの結果、感染症や皮膚トラブルを引き起こす危険性も。特に、手術を行う環境が衛生的でない場合、重大な問題に発展することもあります。
3.
診断の難しさ: これらの処置によって、後の尾や耳の損傷や炎症の診断が難しくなることがあります。
4.
筋力低下や歩行バランスの問題: 鳴き声やコミュニケーションの手段が減少し、犬のストレスになり得るとの意見も寄せられています。
これらの健康リスクを考慮し、多くの獣医師たちは断尾や断耳の処置に対して慎重な姿勢を示しています。
SNS上の反響
Breeder FamiliesのSNSキャンペーンを通じて、「断尾や断耳が行われていることを知らなかった」と驚く声が多く見られました。この声から、情報の非対称性が浮き出てきます。あるユーザーは、「見た目を重視するあまり、自分の愛犬が痛みを伴う手術を受けたことを知らなかった」と述べ、別のコメントでは「犬の自然な姿を理解したい」との思いが綴られています。
獣医師のコメント
獣医師であり遺伝学の専門家、今本成樹先生はこう語ります。
>「断尾や断耳は犬にとって大きな身体的負担を強いる可能性があり、特に不適切な環境で行われれば、そのリスクはさらに高まります。何の理由もなくこれらの処置を続けるのは、犬の福祉に反します」
また、専門的技術が求められるため、処置を不慣れな者が行うことは危険であると強調しています。今本先生は、犬の健康を第一に考え、必要がない限り処置を行うべきではないと強い意見を持っています。
日本と海外の対比
多くの国では、見た目目的の断尾・断耳が法律で禁止されています。しかし、日本ではこのような明確な規制がないため、現実には犬たちに負の影響を及ぼしています。日本国内でも、ペットとして飼われる犬たちが増えているにもかかわらず、未だに慣習的にこれらの手術が行われているのが現状です。専門家が問題視する中、SNSでも一般飼い主が驚きを持って反応する姿勢が見えます。
まとめ:改善に向けた第一歩
犬のしっぽや耳の切除問題は、ただの見た目の問題ではなく、犬に対する健康や福祉に深く関わっています。獣医師の意見や一般飼い主の声から、今後の日本において、この慣習を見直す動きが広がることを期待します。耐えられない痛みとリスクを強いることなく、犬たちがしっぽを振り、元気に暮らせる社会を目指すために、私たち一人ひとりが知識を深め、行動を変えることが重要です。