賃上げがもたらす新たな転職意向の動向調査結果を分析
2026年の春闘で「5%以上」の賃上げが期待されている中、ワークポートが実施した調査によると、ビジネスパーソン442名のうち実に9割以上が転職活動を継続する意向を示しています。この結果からは、賃上げが現代の職場での人材流出を食い止めるためには不十分であることが明らかになりました。
調査背景
全国のビジネスパーソンを対象に行われたこの調査は、賃金に対する意識の変化や、人材流出の背景を探るためのものです。物価上昇に伴い、賃上げへの期待は高まる一方で、多くの働き手が賃上げの効果を実感していない現状が浮き彫りになりました。
賃上げとその実感
調査の結果、52.0%もの人が2026年春の賃上げ交渉で基本給は据え置きになると考えており、高まる賃上げの期待感と、実際の給与引き上げの実感には乖離が生じています。例えば、67.9%にのぼる人が現在の物価上昇を賃上げがカバーできないと感じており、7割近くが「実質マイナスだ」との意識を持っています。このことから、賃金が上がっても生活の実感は改善されていない現実が浮き彫りとなっています。
転職意向の変化
さらに、興味深いのは「賃上げを受けても転職活動を続ける」という意向が70.8%であることです。賃金の上昇が仕事にとどまる要因とはならないという調査結果は、金銭的な報酬以上に、キャリアの成長や市場価値が評価されていることを示唆しています。特に、「自己成長」が転職の決定打であることが強く意識されています。
離職の要因
調査では、転職を考える理由として最も多かったのは「キャリア成長不足・スキルの停滞」で、36.8%の人がこの理由を挙げました。これは、現在の仕事が将来につながるスキルや成長の機会を提供していないという不満に起因しています。また、30.4%が「人間関係・社風のミスマッチ」、26.7%が「労働時間への不満」と回答しており、金銭面では解決できない問題が多く存在しています。
転職の条件
次に転職を考える際の重要な要素では、56.8%が「スキル向上・市場価値の向上」を選択しました。一方で「年収の最優先」はわずか12.7%と、成長環境や社風が重視されている様子が明らかとなりました。働き手はお金だけではなく、スキルや職場の雰囲気なども重視しているのです。
給与だけでは解消できない問題
労働環境の改善とキャリア支援が求められる現在、企業側は賃上げだけでなく、働き手の価値向上をサポートする仕組みが求められています。例えば、自由にキャリアプランを描ける環境、また組織文化を見直す必要性が指摘されています。給与ではなく、スキルや市場価値の向上を重視する働き手のニーズに応える企業が、今後の選ばれる企業となるでしょう。賃金が高いだけでは選ばれない時代が進行しているのです。
多くの意見からも、賃金だけに頼らない職場環境の改善が求められていることがわかります。今後、企業は働き手の期待に応えるための戦略を見つめ直さなければならない時期に来ています。
結論
今回の調査は、労働市場の本質的な変革を裏付けるものと言えるでしょう。賃上げは、もはや離職を防ぐための唯一の解決策ではなく、育成・成長をサポートする環境づくりが重要視される時代が求められています。今後の企業戦略にとって、賃金だけでなく、労働環境やキャリア成長の支援は必須な要素となるでしょう。