北九州市のこどもたちが挑戦したフローリスト体験の感動エピソード
2025年8月1日、黒崎の熊手商店街にある「安田生花店」。いつもは笑顔で賑わうこのお店に、緊張した表情のこどもたちが足を踏み入れました。この日は、彼らにとって特別な「フローリスト」の一日。市場で届いたばかりの花に囲まれながら、彼らは「お客さん」ではなく、一日だけの「フローリスト」としての経験をしていきます。
本格的な職業体験のスタート
「お花屋さん」と聞くと、派手なブーケ作りをイメージするかもしれませんが、実際に体験したのはそれだけではありません。子どもたちはまず、一本一本の花をチェックする選別作業から始めます。鋭いハサミを持ちながら、茎を切って水揚げしやすくする剪定も行い、接客のための掃除も手を抜かずに。
「こんなにやることがあるんだ!」という驚きの声が聞こえてきます。普段は目にすることのない裏方の仕事も体験することで、彼らは真剣に花と向き合い、毎日の仕事の厳しさと重要性を実感します。
思わぬ勘違いで芽生える大きな想い
体験が進むにつれ、子どもたちの純粋な感性が光ります。「このモコモコしたお花、かわいい!」と指差したのは、秋にぴったりの「鶏頭草」。スタッフがその名前を教えると、「毛糸?毛糸はどこにあるの?」と可愛らしい勘違いが起こり、大人たちも思わず笑みをこぼしました。このような小さな瞬間が、場の雰囲気を和ませます。
クライマックスは世界に一つのブーケ作り
そして、体験のクライマックス。スタッフが「このブーケ、誰にあげるの?」と聞くと、一人の女の子ははにかみながら答えます。「パパに渡すの。今まで、誰かのためにお花を選んだことなんてなかったから、ドキドキする。」
心を込めて作られた花束は、特別な贈り物に変わる瞬間でした。自分の気持ちを込めて作ったブーケが、大切な人の元へ届けられることは、こどもたちにとって貴重な体験となりました。
受け入れ企業の感想や保護者の感想
「安田生花店」のスタッフは「一日仕事なんて、途中で飽きちゃうと思っていたけど、子どもたちは信じられないほど集中してくれました。特に『このお花は、ドライフラワーに向いてますか?』という質問に驚かされました。」と、仕事に向き合う真剣な姿勢に心を打たれた様子。
また、保護者の方も感動しながら「子どもの姿を見て、お花が本当に好きなんだと感じました。表の華やかさだけでなく、裏方の仕事を体験させていただいたことは、一生の財産になるでしょう。」とコメントを寄せています。
「こどもまんなか」社会の実現に向けて
この取り組みは、北九州市が掲げる「こどもまんなか」社会の象徴的なイベントです。子どもたちが働くことの厳しさや、誰かの笑顔のために努力することの大切さを学ぶことで、大人たちもまた、彼らの情熱や思いやりに触れることができました。この生花店での一日が、関わったすべての人の心に「こどもまんなか」の小さな種を蒔くことになったのです。
当日の模様
この体験の様子はYouTubeでも公開されていますので、ぜひご覧ください。