近畿エリアにおける建設業の人材需給動向
最近、ヒューマンリソシア株式会社が発表した調査結果によると、近畿エリアの建設技能工が2030年には5万人、2040年には最大10.3万人不足する見通しとなっています。これに伴い、建設技術者の供給も2033年には需要と拮抗するものの、不足に転じるリスクが高まっています。
調査結果の概要
この報告は、全国における建設技術者と技能工の人材需給ギャップを試算したものです。特に近畿エリア(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)では、技能工の不足が顕著であり、今後の業界の課題となることでしょう。
技術者についての見通し
建設技術者の需給は、2020年の7.2万人から2040年には9.1万人に増加すると予想されています。これは新卒者の採用が増加することによるものですが、将来的には採用数を確保できるかどうかが不透明です。そのため、供給数が下振れする可能性も考慮しなければなりません。
また、需要数は2020年の8.0万人から2040年には9.0万人に増加する見込みであり、2033年頃には需給ギャップが解消されるとされています。ただし、供給過剰はわずか0.9%に留まる見通しであり、近畿エリアでは人材の流動性に注意が必要です。
技能工の現状
一方、技能工の供給数は2020年の32.7万人から年々減っていきます。2030年には29.9万人、2040年には27.0万人になるとの試算です。これに対し、2040年の需要数は37.3万人に達する見込みであり、20年間で約2割の減少が予想されています。
結果として、近畿エリアにおいては2030年に5.0万人、2040年には最大10.3万人の技能工が不足すると見込まれています。
将来に向けての課題
本調査からは、近畿エリアの建設業界における人材不足が深刻化することが浮き彫りになりました。特に技能工は、他のエリアでも大幅な不足が見込まれており、業界全体での危機感が強まっています。
調査を実施したヒューマンリソシア社のアンケートによると、約6割の人材が施工管理における不足は拡大するとの見解を示しており、技能工においても約7割が同様の意見を持っています。これからの近畿エリアの建設業界では、採用活動の強化や定着を促進する待遇改善が急務となっています。
さらに、海外出身者の受け入れを積極化させたり、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて生産性を向上させる取り組みが求められています。様々な視点から、中長期的な労働力確保の策を講じることが重要といえます。
まとめ
建設業界は重要な社会基盤を支える仕事ですが、今後の人材不足は業界全体に影響を与える問題です。近畿エリアでは2033年頃には技術者の不足が一時的に解消される見込みですが、その後の需給が拮抗するリスクは依然として残っています。技能工の不足は長期的な課題として捉え、新たな戦略を打ち出さなければなりません。これからの近畿エリアの建設業界において、どのように人材を確保するかが非常に重要なテーマとなります。