北九州市の下水道調査が新たな一歩を踏み出す
2025年5月30日、北九州市内において全国初の試みとして『下水道管路の全国特別重点調査』が実施されました。この調査は、株式会社Liberaware、岡野バルブ製造株式会社、株式会社MAX工業と共同で進められ、革新的な技術であるIBIS2を駆使して行われました。これは、老朽化が進む下水道インフラの点検を効率的かつ安全に行うことを目指しています。
調査の背景
国土交通省の調査によれば、2023年度末には全国の下水道管渠が50万キロメートルに達し、そのうち約7%にあたる4万キロメートルが標準耐用年数である50年を超えています。この数字は、2030年には約21万キロメートルに達する見込みで、老朽化に伴う様々な問題が顕在化しています。
実際に、2025年1月には埼玉県八潮市で道路陥没事故が発生し、国土交通省は7都府県の流域下水道管理者に緊急点検を指示しました。このような背景から、下水道の点検体制を強化する必要性が高まっています。北九州市では、地域住民の安全を守るため、日々の点検や維持管理を行っていますが、人が入れない場所での点検の工夫が求められていました。
新たな技術、IBIS2の利用
今回の調査では、直径2メートル以上の下水道管で設置から30年以上経過した約54キロメートルが対象です。初回の調査では、北九州市小倉北区にある直径2.7メートルの下水道管約100メートルをIBIS2によって調査しました。
IBIS2を用いたドローン調査は、人がアクセスできないエリアを飛行させ、管内の腐食状況やひび割れの有無を確認する手法です。従来の調査では、高いコストと長い時間が必要でしたが、IBIS2の導入によって安全かつ迅速な調査が実現しました。この技術により、下水道の信頼性が確認されるだけでなく、今後の維持管理にも大きく寄与するでしょう。
調査の取り組み
今回の調査は、北九州市の疫病対策、岡野バルブ製造の点検プロセス構築、Liberawareのドローン開発、MAX工業のオペレーター支援など、各社が協力し合った結果です。特に、IBIS2によって収集したデータは、インフラ点検の標準モデルとして定着する可能性を秘めています。
また、これらの調査のプロセスから得られるデータは、ドローン活用のガイドラインや制度化へとつながるものであり、安全で効率的な点検が全国的に行われることを期待しています。
未来への展望
Liberawareは、IBISを活用したインフラ点検の成長機会を見据えています。今後も技術革新を進め、安全で平和な社会の実現に向けて、人々の見えないリスクを可視化するソリューションの提供を続けていきます。
この取り組みは、国土強靭化の一環として、未来のインフラ維持管理に新たな道筋をつけるものです。私たちの生活に密接に関わるインフラが安全に保たれることを願います。