恐怖が潜む故郷の風景とは?
福岡県の人々が生活する片田舎で、奇妙な事件が続出しています。地元の人々を脅かすその謎は、著者・嗣人による新たなホラー小説『霧の出る森』に描かれています。この作品は2025年8月29日に発売され、犯罪や恐怖が隠れた静かな地域の実態を伝えています。
土地の因果を感じる作品
本書は、九州を舞台にした民俗ホラーの第二弾であり、著者はすでに『四ツ山鬼談』という作品で期待を持たせています。作品は短編のオムニバス形式で織り成され、屋敷や霊園、禁忌とされる土地が近くに存在する福岡県の一角に焦点を当てています。それぞれの物語が点となり、次第に繋がっていく様子は、読者に緊張感を与えます。
物語の概要
本書には、7つの短編が収められています。最初の「なもなきもの」では、山菜採りに出かけた夫が意識不明で発見され、その左手には不気味な石が握りしめられています。続く「くべられるもの」では、小学校の新任教師が過去の忌まわしい事件を引き合いに出します。一方、「しらぬもの」では、中古住宅の二階に封じられた謎の祭壇が登場し、恐怖の足音が迫ります。
また、「おかすもの」では、民間企業による霊園の造成と失踪事件が絡み合い、地域の歴史と因果が浮き彫りにされます。さらに保険の営業でやってきた主人公が訪れる「つながるもの」や、「ひかれるもの」で描かれる家庭の対立、そして「ついでいくもの」では民俗学研究室の学生たちが禁断の山に足を踏み入れる様子が展開されます。これらの物語は、単にホラーとしての恐怖感だけではなく、地域に根ざした人々の信仰や文化が背景にある深い考察がなされています。
作者のバックグラウンド
嗣人(つぐひと)氏は熊本県荒尾市出身で、現在は福岡県に住みながら執筆活動をしています。在学中には民俗学を学んでおり、その知識を活かして地域の伝説やホラーをテーマにした作品を多く生み出しています。彼の作品は、まるで実際にその土地に伝わる民話や噂話を読んでいるかのようなリアリティがあります。そのため、特に九州地域に関心のある方々にとって非常に魅力的な本となることでしょう。
イラストレーションも魅力的
本書の装画を手掛けるのは遠田志帆さんで、数々の著名な作品のイラストにも関わっています。独特の世界観を引き立てるイラストにより、物語の雰囲気がさらに際立ち、読者をこの不気味な世界へと引き込みます。
書誌情報
「霧の出る森」は、2025年8月29日発売予定で、価格は1760円とお手頃です。ホラー好きな方や、地域文化に興味がある方にとって、必見の一冊となること間違いなしです。底冷えの恐怖と、因果が織りなす短編集をぜひお見逃しなく。
詳しい情報や予約は、竹書房の公式サイトでご確認いただけます。