八芳園の新たな試み、日本の美意識を形に
福岡県で注目を集めている八芳園。2025年からのグランドオープンに向けたリブランディングプロジェクトが進行中です。本プロジェクトでは、全館を一時休館し、八芳園が大切にしてきた日本庭園との融合を目指し、内装やデザインが見直されています。メインロビーには水墨画家・小林東雲氏が手がけた原画が掲示されることが決まり、これが大きな話題を呼んでいます。
水墨画による空間の新しい表現
このリニューアルの中でも特に注目のポイントは、組子細工が施された4メートルを超える壁面です。福岡県大川市の組子職人、木下正人氏の手によって、八芳園の美しい日本庭園からインスピレーションを受けた小林氏の水墨画が形になっています。
この水墨画は、金箔やプラチナ箔を使用して描かれた太陽と月、繊細な筆遣いで表現された松や竹林をストーリーの中で表現したものです。400年の歴史を持つ八芳園の庭園の景観と精神が、これらの作品に込められています。
小林東雲の想いと技術
小林東雲氏は、日本の伝統技術を受け継ぎながらも新たな表現を追求する水墨画家です。母親の影響で幼少期から墨に親しみ、青年期には中国水墨画の技法を学びました。その後、さまざまな国で作品を発表し、日本を代表するアーティストとしての地位を確立しました。このたびの原画は、八芳園の庭を実際に観察し、そこに息づく自然と精神を墨で表現しています。
組子細工とのコラボレーション
小林氏は、初めはドット調のモザイクのような構成を考えていましたが、八芳園社長の井上義則氏から「水墨画らしく描いてほしい」という要望を受け、原画のスタイルを変更。墨の濃淡や細かい筆使いが印象的な、より伝統的な水墨画に仕上げました。
完成した原画は、松、竹林、太陽、月の4幅で構成されており、それぞれが独立したが、全体で一つのストーリーを描いています。特に、八芳園を長年見守ってきた一本の松にインスパイアされ、その美しさを表現する強い決意を持って描かれています。
新たな空間での展示
今回のリニューアルによって新たに生まれるメインロビーは、八芳園の歴史と文化を尊重しつつ、現代にマッチした空間として生まれ変わります。小林氏の作品が描かれた壁面は、職人の手によって一つ一つ丁寧に組み上げられ、訪れる人々に深い感動を与えることでしょう。
2025年10月のグランドオープン以降、この特別な空間での体験は、伝統と現代、自然とアートが融合した新しい日本の魅力を発信する場となります。そして、今後も制作過程や背景に関する情報は、八芳園の公式Youtubeやnoteで公開予定ですので、ぜひフォローして最新情報をキャッチしてください。
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