須恵町のAI審査
2025-12-12 12:23:27

福岡県須恵町でのAI活用による審査業務の新モデルとは?

福岡県須恵町でのAI活用による審査業務の新モデル



2023年11月、福岡県須恵町とトヨクモクラウドコネクト株式会社(TCC)が共同で実施した申請補助AIに関する実証実験の結果が公開されました。この実験では、実際の給付金申請データを用いてAIがどの程度、申請業務の審査を自動化できるかを検証しました。

AIの事前審査機能の検証



今回の実証では、AIが自動的に行った441件の本人確認事前審査について、人間が事後確認を行ったところ、431件が「問題なし」とされ、実に97%の高精度を達成しました。この結果から、AIによる事前審査は実務に十分活用できるレベルにあることが明らかとなりました。さらに、申請時の口座確認でも434件が「問題なし」となり、AIの精度はさらに向上しています。

ただし、AIによる判断と人間による確認が一致しなかった10件については、さらなる精度向上のための開発が求められるとされています。しかし、AIは最終判断を下すものではなく、あくまで事前審査を助ける存在であるため、誤った給付が行われるリスクはかなり低くなっています。

申請者の行動データ分析



実証実験では、住民が申請を行うタイミングについても重要な知見が得られました。調査によれば、開庁時間内に申請が行われたのは172件、対して開庁時間外に行われた申請は301件という結果が出ました。つまり、全体の約63.6%が夜間や休日に申請されています。これまでの運用では、開庁時間外の申請が次の開庁日まで滞留し、審査の開始が遅れる構造がありました。

しかし、申請補助AIは、夜間に行われた申請に対しても即時に事前審査を実施。エラーがあった場合は、その場で申請者に通知することが可能なため、日中には前日の案件がすでに修正された状態で職員に引き継がれ、時間のロスが大幅に削減されます。住民は「いつ申請しても迅速に対応される行政」を実感し、職員は「出勤した時には前日の申請が処理されている状態」を迎えることができる、新しい運営モデルが実現するのです。

実証実験レポートの詳細



公開されたレポートには、AIが自動化できた領域やエスカレーションが必要だった領域、人間による確認時の正誤率など、実運用に近い形での検証結果が詳しく掲載されています。このレポートは、実証実験の成果をより広く理解するための貴重な資料と言えるでしょう。

実証実験レポートはこちらからご覧いただけます。

専門家からのコメント



実証実験にあたり須恵町の税務課の宮原様は、AIによる事前チェックの精度が非常に高いと評価。特に、多くの申請が見込まれる自治体においては、大きな効果を生む可能性があるとコメントしています。また、サイボウズ株式会社からも、住民の申請後の待ち時間削減に期待が寄せられています。

トヨクモ株式会社の代表、山本裕次氏も、AIの活用が審査業務を支える新たなモデルになりうるとの見解を示しています。今後、自治体業務の効率化と住民サービスの向上に向けて、AI技術の進化が期待されています。

まとめ



福岡県須恵町とトヨクモの共同実証実験は、申請補助AIが行政実務においてどのように機能できるかを示す先進的な取り組みとなりました。今回の成果をもとに、AIを活用した審査業務の新たな運営モデルが全国に広がることに期待が高まります。


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