九州初の近距離モビリティ導入
福岡市にある特別養護老人ホーム「りんごの丘」は、高齢者の移動支援に特化した新しい取り組みとして、近距離モビリティ「WHILL」を導入しました。この取り組みは、九州地方では初の試みとなります。
このプロジェクトは、社会福祉法人そよかぜの会とWHILL株式会社との協力によって実現しました。高齢化が進む現在、介護現場では車椅子による移動支援が一般的ですが、スタッフの負担が大きくなっているのが現状です。スムーズな移動手段の導入は、入居者やその家族にとっても大きなメリットをもたらすことが期待されています。
近距離モビリティの特長
WHILLは、免許がなくても操作可能なモビリティであり、特に利用者の自立を促進する設計が特徴です。採用されたモデルC2は、安定性が高く、小回りも利くため、安全かつ快適に施設内外を移動できます。さらに、介護スタッフもこのモビリティを活用することで、移動中の転倒リスクを減少させ、業務負担が軽減されることが期待されています。
利用者様が自分で簡単に操作できる点も大きな利点であり、家族と共に同じ距離で散策することが可能になります。従来の介助型車椅子では実現が難しかった、この新しい形が「りんごの丘」で導入されることで、入居者のQoL(生活の質)の向上につながるでしょう。
高齢化と福祉業界の課題
日本では高齢者の割合が増加しており、特に2024年には高齢化率が3割に達するとされています。この現状を背景に、特別養護老人ホームなどの介護施設では、人手不足や全体的な業務負担の増加が問題になっています。これに対して、移動支援の簡素化とスタッフの負担削減を図ることは、今後の介護福祉現場にとって重要な課題です。
そよかぜの会は「尊厳と自立」を理念に掲げ、利用者様が自立した生活を送れるよう、様々な支援を行っています。りんごの丘でのWHILLの導入も、その一環として位置づけられています。
持続可能な介護の実現に向けて
この新しい取り組みは、利用者様が自立して暮らせる環境を提供することを目的とし、同時にスタッフの負担も軽減する狙いがあります。「りんごの丘」とWHILL社は、今後もこのような快適な移動環境を整備し、介護に携わるすべての人が快適に過ごせる社会を目指していく考えです。
来る2025年7月3日から本格運用がスタート予定のこのサービスは、福岡の介護福祉業界における新境地を開くものとして、多くの期待が寄せられています。入居者様やそのご家族にとって過ごしやすい環境を提供するだけでなく、地域社会とのつながりを深める場ともなることでしょう。今後の展開に注目です。