次世代手術支援システム
2026-06-01 16:21:58

AIが実現する次世代手術支援システム「EIRL Surgery LC」の薬事承認取得

AIが進化させる手術支援の未来



国立大学法人大分大学と学校法人福岡工業大学が共同で開発した「EIRL Surgery LC」が、医薬品医療機器等法に基づく製造販売承認を取得しました。この製品は、手術中の内視鏡映像をリアルタイムでAIが解析し、重要な解剖学的構造を認識することで、手術の安全性を大幅に向上させることを目的としています。

技術の概要と背景



腹腔鏡下胆嚢摘出術は、年間約12万件行われている一般的な外科手術ですが、その中で約600件が胆道損傷を引き起こしています。胆道損傷は、再手術や長期入院を必要とし、患者の生活の質に深刻な影響を及ぼす可能性があります。この問題を解決するためには、胆嚢の周辺にある解剖学的ランドマークを正確に特定することが不可欠です。

しかし、従来の手法では術者の経験に頼る部分が大きく、安定した外科手術の提供が困難であるという課題がありました。こうした問題を克服するために開発されたのが「EIRL Surgery LC」です。

AI技術の詳細



「EIRL Surgery LC」では、内視鏡手術映像を利用した深層学習によって、熟練外科医が認識する胆嚢管や肝外胆管、さらにはルビエレ溝といった解剖学的ランドマークを高精度に特定します。そして、これらの情報を手術中にリアルタイムで提示し、外科医の判断をサポートします。

この技術は、大分大学医学部附属病院において実施された臨床機器試験を経て、その有効性と安全性が実証されました。また、エルピクセル株式会社による医療機器としての実装を経て、オリンパス株式会社の内視鏡映像システム「VISERA ELITEIII」との連携が実現しました。

社会的意義と期待される効果



本技術の導入により、熟練外科医の「暗黙知」をAIが可視化し、より多くの医師が手術中にその情報を活用できるようになります。これによって、術者間の手術技術のばらつきを減らし、安全で標準化された手術手技を確立することが期待されます。さらに、若手医師の教育にも寄与し、安全な手術技術の伝承が進むでしょう。

今後の展開



今後、国内の医療機関における評価を進めながら、保険収載に向けた臨床データの収集を行います。また、今回の技術を基盤に、呼吸器外科や泌尿器外科など、さまざまな分野への応用を目指して更なる研究開発を推進します。将来的には、国際展開を見据え、世界的な医療安全の向上に貢献していくことを目指します。

専門家のコメント



大分大学の猪股雅史教授は、「このシステムは、外科医の手術中の意思決定を直接支援する革新的な技術です。患者にとっての医療安全をさらに向上させるものと確信しています」と述べています。また福岡工業大学の徳安達士教授は、「約8年の研究の成果が、手術中の判断をAIが支援するという新たな枠組みを提供することに繋がりました」と期待をしています。

このように、「EIRL Surgery LC」の登場は、手術の安全性向上に向けた新たな一歩となることが期待されています。


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