地域発のAI人材育成プロジェクト "Enable AI Foundry"
近年、生成AIがさまざまな分野で注目を集めています。その中で、京都芸術大学から生まれたDX推進企業、株式会社クロステック・マネジメント(通称XTM)が、国内8社と協力し、地域発のAI育成を目指す新たなアライアンス、「Enable AI Foundry」を11月26日(水)に発足しました。このアライアンスは、AIを使うだけでなく、自ら生み出し、形にできる環境を地域に広げていくことを目指しています。
生成AIが直面する課題
さまざまな業界で生成AIの実践が進む一方で、その普及には多くの課題が存在します。特に、AI開発に必要な計算資源の不足、ハードウェア整備の困難さ、データ処理の前工程、さらにはAI実装専門の人材の不足などが挙げられます。これらは全国の企業や自治体、個人にとって共通の問題です。
このような背景から、「Enable AI Foundry」は設立され、GPUクラウドやAI実装支援、データ運用などの専門性を持つ9社が参加。各社の強みを生かしつつ協力し、高い柔軟性を持ったプロジェクトネットワークを形成しています。
地域共創による分散型インフラ
XTMは、教育DXで培った技術を生かして、AI開発に必要な計算資源やデータ基盤、プロトタイプ環境を共同で整備する“分散型インフラ”を形成します。これにより、地域や組織間のAI活用の格差を縮小し、個人や企業、行政、教育機関などが参加できるオープンな基盤を作ることが目指されています。
「Enable AI BASE」というモジュール型の施設が大阪、京都、福岡、沖縄に展開され、地域での勉強会やハッカソンが開催される予定です。これらの場を通じて、AIを「つくる人」「使いこなす人」「社会実装する人」が交わり、新たなプロジェクトが生まれる循環を育んでいきます。
AIを生み出す力を育てる
「Enable AI Foundry」の名称は、AIを“使う”のみならず、自らを生み出すこと(Enable)を広めることを意図しています。Foundry(ファウンドリー)は本来「鋳造所」を意味し、AIの世界では「AIを生み出し、形作る場所」を指します。また、ロゴには異なる専門性や地域が協力し合い、新たな価値が生まれるイメージが象徴されています。
共同基盤の必要性とダイナミックな構想
日本においては、計算資源やハードウェアの不足などがAI開発を難しくしています。これに加え、地域ごとに取り組みが分散しスケールメリットを得られない状況が続いています。このため、AI開発の前提条件へのアクセスを容易にする共同基盤の構築が求められています。一方で、AIを実現するにあたり、生活や仕事、学び、楽しむ未来像を描くために、5つのドメイン(Life/Learn/Make/Work/Enjoy)に基づいた活動が行われます。
初期プロジェクトと参画企業
この「Enable AI Foundry」では、初期プロジェクトとしてシャープ株式会社とセマンティックカメラとのコラボレーションが予定されており、AIとハードウェアを組み合わせた新たなユースケースの創出を目指しています。また、参加企業から幅広くテーマを募集し、アライアンスが持つ柔軟性を生かした活動を進めていきます。
XTMとその提携先企業が手を組むことによって生まれるAIの未来にご期待ください。地域の技術者や企業が集まり、共に学び合い、AIの世界に新たな価値をもたらすことに挑戦するこのプロジェクトは、未来を切り開く大きな一歩となるでしょう。